- 2026年10月7日
- 2026年9月28日
朝晩だけ鼻水が止まらない|寒暖差による鼻炎と、アレルギー性鼻炎の見分け方
日中はなんともないのに、朝と夜だけ鼻水が出る方へ
「朝、起きた直後にくしゃみが止まらない」「夜、家に帰ったとたんに鼻水が出る」。それなのに、日中はけろりとしている——季節の変わり目に、こうしたご相談が増えます。
かぜ薬を飲んでも変わらず、アレルギーの薬を試しても効いている実感がない。そのうちに気温が安定して自然におさまるため、そのまま毎年やり過ごしている方も多いのではないでしょうか。
このような症状の背景には、気温の変化が引き金になって起きる鼻炎があると考えられています。アレルギー性鼻炎とは仕組みが異なり、対処の考え方も変わります。この記事では、両者の違いと見分け方、そして受診したほうがよい目安を整理します。

寒暖差で鼻炎が起きるのは、どういう仕組みですか?
鼻の粘膜には、吸い込んだ空気の温度や湿度を整えるはたらきがあります。この調節は自律神経によってコントロールされています。
急な温度差にさらされると、この調節がうまく追いつかず、鼻の粘膜の血管が広がって腫れたり、鼻水の分泌が増えたりすることがあります。医学的には血管運動性鼻炎などと呼ばれ、寒暖差が引き金になるものは「寒暖差アレルギー」と通称されることがあります。
ただし、この呼び名は正式な病名ではありません。名前に「アレルギー」と付いていますが、花粉やダニのようなアレルゲンに対する反応ではないという点が、いちばん大きな違いです。
どんなときに起こりやすいですか?
- 暖かい室内から寒い屋外に出たとき
- 朝、布団から出たとき
- 温かい食事や飲み物をとったとき
- 秋から冬、春先など、一日の気温差が大きい時期
おおむね7度以上の気温差が引き金になりやすいといわれています。
アレルギー性鼻炎とは、どう違いますか?
症状はよく似ていますが、次の点が手がかりになります。
寒暖差による鼻炎で多くみられる特徴
- 温度が変わった直後に症状が出て、環境に慣れると落ち着く
- 目のかゆみを伴わないことが多い
- 症状が出る時間帯が、朝晩などに偏っている
- アレルギー検査を受けても、原因となる物質が見つからない
アレルギー性鼻炎で多くみられる特徴
- 原因となる物質に触れると、場所や時間を問わず症状が出る
- 目のかゆみや充血を伴うことが多い
- 花粉が原因なら決まった季節に、ダニやハウスダストが原因なら一年を通じて症状が出る
- アレルギー検査で原因が確認できる
いちばん分かりやすい違いは、目のかゆみです。目のかゆみがはっきりある場合は、アレルギーが関係している可能性が高くなります。
ただし、両方を併せ持っている方もいらっしゃいます。「アレルギー性鼻炎があり、そこに寒暖差が加わって悪化している」という状態は、めずらしくありません。

自分がどちらなのかは、どうすれば分かりますか?
症状の出方だけで確定させることはできません。順番としては、まずアレルギー検査で原因物質があるかどうかを確かめるのが現実的です。
当院では、指先から少量の血液を採取して調べるアレルギー検査「サイリス」を行っています。結果は約40分で分かるため、その日の診察のなかでご説明できます。
検査で原因が見つからず、症状の出方が温度差と結びついている場合には、寒暖差による鼻炎を念頭に置いて対応を考えていきます。
また、鼻の中の状態は内視鏡で確認できます。粘膜の腫れ方や鼻の形も、症状の出方に関係することがあるためです。
家庭でできることはありますか?
寒暖差による鼻炎では、温度差そのものを小さくする工夫が基本になります。
- 首元を保温する。マフラーやネックウォーマーで首を温めると、体感の温度差が和らぎます
- マスクを使う。吸い込む空気の温度と湿度が上がり、鼻への刺激が減ります
- 室温の差を小さくする。暖房の効いた部屋と廊下の温度差が大きいと、移動のたびに症状が出やすくなります
- 朝、起きる前に部屋を暖めておく。布団から出るときの温度差が減ります
- 適度な湿度を保つ。乾燥は鼻の粘膜への刺激になります
これらで足りない場合には、点鼻薬や内服薬で症状を抑える方法を検討します。どの薬を選ぶかは症状の出方によって変わるため、診察のうえでご相談ください。
こんなときは受診をご検討ください
- 鼻の症状が2週間以上続いている
- 鼻づまりで口呼吸になり、睡眠が浅い
- 鼻水に色が付いてきた、頬や額に重さを感じる
- 市販薬を使っても改善しない、または使い続けている
- においを感じにくくなった
- 毎年決まってこの時期に繰り返している
とくに鼻づまりが続く場合は、副鼻腔炎や鼻の構造的な要因が隠れていることもあります。鼻の奥は自分では見えません。続くようであれば、一度確認しておくことをおすすめします。
よくあるご質問
Q. 「寒暖差アレルギー」は病気なのでしょうか。
A. 通称であり、正式な病名ではありません。医学的には血管運動性鼻炎などとして扱われることがあります。名前に反して、花粉やダニに対するアレルギー反応とは仕組みが異なります。
Q. アレルギーの薬は効きますか。
A. アレルギー反応が原因ではないため、抗アレルギー薬の効き方は人によって異なります。症状の出方に応じて、点鼻薬なども含めて選択肢を検討します。まずは原因を切り分けることが先になります。
Q. アレルギー検査で何も出なければ、寒暖差が原因だと考えてよいですか。
A. 検査で原因物質が見つからないことは、判断のうえで重要な手がかりになります。ただし、鼻の状態や症状の出方も併せて確認する必要がありますので、診察のうえで総合的に判断します。
Q. 子どもにも起こりますか。
A. お子さまにも起こりえます。ただし、お子さまの鼻づまりはアレルギー性鼻炎やアデノイド肥大が関係していることもあります。鼻づまりが続く場合や、いびきを伴う場合は、一度ご相談ください。
Q. 放っておくとどうなりますか。
A. 気温が安定すると落ち着くことが多い症状です。ただし、鼻づまりが続くと睡眠の質や集中力に影響することがあり、副鼻腔炎につながる場合もあります。長引くようであれば受診をご検討ください。
まとめ:まずはアレルギーかどうかを切り分ける
- 朝晩だけ症状が出る鼻炎には、気温の変化が引き金になっているものがあります
- 「寒暖差アレルギー」は通称で、花粉やダニへのアレルギー反応とは仕組みが異なります
- 目のかゆみの有無が、アレルギー性鼻炎との見分けの手がかりになります
- 症状の出方だけでは確定できないため、アレルギー検査で切り分けるのが現実的です
- 当院では、指先採血のアレルギー検査「サイリス」を行っています。結果は約40分で分かります
- 首元の保温やマスクなど、温度差を小さくする工夫が基本の対処になります
- 2週間以上続く場合や、鼻づまりで睡眠に影響が出ている場合は受診をご検討ください
勝どきみなみクリニック耳鼻咽喉科では、勝どき・晴海・月島をはじめとする周辺エリアの方の鼻の症状を診療しております。毎年この時期がつらいという方は、お気軽にご相談ください。
医療法人社団恵水会 勝どきみなみクリニック耳鼻咽喉科 院長
南 愼一
医学博士/耳鼻咽喉科学会認定専門医/耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医/身体障害者福祉法 第15条指定医
参考文献
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