• 2026年9月30日
  • 2026年9月28日

インフルエンザワクチンを受ける前に|注射と経鼻(フルミスト)の違い、当日までの準備

「注射」と「鼻にスプレーするタイプ」、どちらを選べばよいですか

秋が深まると、インフルエンザワクチンをどうするかを考える時期になります。とくにお子さまがいらっしゃるご家庭では、「鼻からのタイプもあると聞いたけれど、どちらがよいのだろう」と迷われることがあるかと思います。

インフルエンザのワクチンには、腕に打つ注射のワクチンと、鼻の中にスプレーする経鼻のワクチンがあります。2つは仕組みも、受けられる年齢も、接種の回数も違います。どちらでも自由に選べるというものではなく、年齢や体の状態によって、受けられるものが決まります。

この記事では、2つのワクチンの違い、受けられない方・相談が必要な方、接種の時期の目安、そして当日までに準備しておくことを整理します。当院で実際に行っている内容に沿って書いていますので、来院前の確認にお使いください。

インフルエンザワクチンには、2つの種類があります

注射のワクチン(HAワクチン・不活化ワクチン)

長く行われてきた、腕に注射するタイプです。ウイルスの感染力をなくした成分を使っています。

  • 13歳以上は、原則1回の接種です
  • 1回目の接種時に13歳未満の方は、2回の接種が推奨されています

経鼻のワクチン(フルミスト・弱毒生ワクチン)

鼻の中にスプレーするタイプです。注射ではないため、針を使いません。弱毒化した生きたウイルスを使う「生ワクチン」です。

  • 接種は1回です
  • 当院では、2歳から高校3年生相当までの方が対象です
  • 生ワクチンのため、接種後にインフルエンザに似た症状が出ることがあります

★ 針を使わないから負担が軽い、という理由だけで選べるものではありません。

生ワクチンであるため、受けられない方の条件が注射のワクチンとは異なります(下記)。

受けられない方・相談が必要な方

次に当てはまる方は、予防接種を受けることができません。

  • 明らかに熱のある方(通常は37.5℃を超える場合)
  • 重い急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • ワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな方
  • 明らかに免疫機能に異常のある疾患がある方、免疫抑制をきたす治療を受けている方(経鼻ワクチンの場合)
  • 妊娠していることが明らかな方(経鼻ワクチンの場合)
  • その他、医師が不適当な状態と判断した方

また、次の方は接種の前に医師とのご相談が必要です。

  • ワクチンの成分、または鶏卵・鶏肉など鶏由来のものにアレルギーを起こすおそれがある方
  • 心臓病、肝臓病、腎臓病、血液の病気で治療中の方、基礎疾患がある方
  • これまでの予防接種で、2日以内に発熱や発疹などがみられた方
  • 間質性肺炎、気管支喘息などの呼吸器の病気がある方(注射ワクチンの場合)
  • 重度の喘息がある方、喘鳴の症状がある方、ゼラチンで過敏症を起こしたことがある方、授乳中の方(経鼻ワクチンの場合)

女性の方は、経鼻ワクチンの接種前1か月と接種後2か月は、妊娠を避けていただくようご案内しています。

このほかにも該当する項目があります。詳しくは当院ホームページの「インフルエンザワクチン接種での注意事項」をご確認のうえ、判断に迷う場合は接種の前にご相談ください。

いつ受けるのがよいですか?

インフルエンザの流行期を考えると、12月中旬までには接種を完了させておくことをおすすめしています。

  • 13歳未満で2回接種の方は、1回目と2回目の間隔は4週間が理想です。2〜6週間以内に2回目を受けてください
  • 2回接種が必要な方は、逆算すると11月上旬までには1回目を受けておくことになります

当院の接種は予約制ではありません。順番受付システムでの受付となり、在庫がなくなり次第、接種はできなくなります。

また、接種後30分は副反応に注意が必要なため、診療終了時間の間際の接種はお受けできない場合があります。接種をご希望の場合は、平日午前診と土曜は12時30分まで、平日午後診は18時30分までにお越しください。

当日までに準備しておくこと

予診票

予診票は、ワクチンの種類ごとに分かれています。当院のホームページから、注射ワクチン用と経鼻ワクチン用のどちらかをダウンロードし、記入のうえお持ちください。

中央区の助成を利用される場合は、区指定の予診票を院内でお渡ししますので、ダウンロードは不要です。

持ち物

  • 診察券(お持ちでなくても接種は可能です。事前に順番受付をしてからお越しください)
  • 資格確認書、またはマイナ保険証。お持ちの方は医療証
  • 記入済みの予診票

未成年の方の同伴について

13歳未満の方は保護者等の同伴が必要です。13歳以上16歳未満の方は、保護者の電話番号と自署のある保護者同意書をお持ちいただければ同伴は不要です。16歳以上の方は同伴は不要で、予診票にはご本人が署名してください。

なお、16歳未満の方で保護者以外の方が同伴される場合は、委任状が必要です。

当日の体調と服装

接種日は、事前に体温を測ってからお越しください。 体調が優れないときは無理をせず、次の機会をお待ちください。注射での接種の場合は、二の腕を出しやすい服装でお越しください。注射の前に保冷剤をお貸しできますので、ご希望の方は受付にお申し出ください。

費用について(2026年度)

当院は中央区のインフルエンザ予防接種助成の対象医療機関です。

中央区の助成は、本来10月1日開始のところ前倒しとなり、当院でもすでに接種を始めています。

助成を利用される場合(期間内・在庫がある場合)

区分通常助成後
注射(HAワクチン)/中学生までの小児3,000円/回1,000円/回
注射(HAワクチン)/高校生4,000円/回2,000円/回
注射(HAワクチン)/大学生から満59歳—4,000円/回(助成なし)
注射(HAワクチン)/満60歳から74歳まで—2,500円/回
注射(HAワクチン)/満75歳以上、生活保護など—無料
経鼻(フルミスト)/2歳から高校3年生相当まで8,000円/回4,000円

助成を利用できない条件での接種、成人の経鼻ワクチンなど適応外となる場合

区分費用
注射(HAワクチン)1回 5,000円
経鼻(フルミスト)1回 9,000円

※ 上記は2026年9月17日にご案内した内容です。接種代金は毎年変更がありますので、現在の費用は当院ホームページのお知らせをご確認ください。

※ 中央区の助成を利用される場合は、対象や条件を事前に自治体のホームページなどでご確認ください。

なお、予防接種の費用は確定申告の医療費控除の対象となる場合があります。当院では一般の診療と同様にレシートを発行しています(手書きの領収書が必要な場合は受付にお申し出ください)。

接種を受けたあとに気をつけること

  • 接種後30分間は、接種場所で様子を見るか、医師とすぐ連絡が取れるようにしてください。急な副反応は、この間に起こることがあります
  • 注射のワクチンは接種後1週間、経鼻のワクチンは接種後4週間、副反応が出ていないかよく観察してください
  • 接種当日の入浴は差し支えありませんが、接種部位はこすらないでください。激しい運動は避けてください
  • 経鼻のワクチンを接種した後1〜2週間は、乳児や重度の免疫不全のある方との密接な接触を、できる限り避けてください。ワクチンウイルスが伝わる可能性があるためです
  • 接種部位の異常、高熱、けいれんなどがみられた場合は、速やかに医師の診察を受けてください

主な副反応

注射のワクチンでは、接種部位の発赤・腫れ・痛み、発疹、頭痛やめまい、発熱や倦怠感など。まれに、ショック、アナフィラキシー、脳炎・脳症、ギラン・バレー症候群、けいれん、肝機能障害などが生じる可能性があります。

経鼻のワクチンでは、鼻づまりや鼻水、咳、のどの痛み、頭痛、発熱や倦怠感など。まれに、ショック、アナフィラキシー、呼吸困難、血管性浮腫などが生じる可能性があります。

いずれも上記がすべてではありません。 詳しくは当院ホームページの「インフルエンザワクチン接種での注意事項」をご確認ください。極めてまれに、治療を必要とする重い健康被害が生じることがあります。 任意の予防接種による健康被害については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用被害救済制度があります(フリーダイヤル:0120-149-931)。

よくあるご質問

Q. 注射と経鼻、どちらを選べばよいですか。

A. まず年齢で選択肢が決まります。当院の経鼻ワクチンは2歳から高校3年生相当までの方が対象です。そのうえで、喘息の有無や、ご家族に免疫の弱い方がいらっしゃるかなど、体の状態やご家庭の事情によって適さない場合があります。診察のうえでご相談ください。

Q. 予約は必要ですか。

A. 当院の接種は予約制ではありません。順番受付システムで受付をしてからお越しください。在庫がなくなり次第、接種はできなくなります。

Q. 子どもが卵アレルギーですが、受けられますか。

A. 鶏卵や鶏肉など鶏由来のものにアレルギーを起こすおそれがある方は、接種の前に医師とのご相談が必要です。受けられるかどうかは、これまでの症状の程度によって変わります。自己判断せず、診察時にお伝えください。

Q. 接種すればインフルエンザにかからずに済みますか。

A. ワクチンは、発症や重症化を抑えることが期待される手段のひとつですが、かからないことを保証するものではありません。接種後も、手洗いや体調管理などの基本的な対策は続けてください。

まとめ:年齢と体の状態で、受けられるものが決まります

  • インフルエンザワクチンには、注射(HAワクチン)と経鼻(フルミスト)の2種類があります
  • 注射は13歳以上が原則1回、13歳未満は2回。経鼻は1回で、当院では2歳から高校3年生相当までが対象です
  • 経鼻は生ワクチンのため、受けられない方の条件が注射とは異なります(妊娠中・免疫抑制・重度の喘息など)
  • 12月中旬までに完了を目安に。2回接種の方は11月上旬までに1回目を
  • 予約制ではなく、在庫がなくなり次第終了です。受付の締め切り時間にもご注意ください
  • 予診票はワクチンの種類ごとに分かれています。事前の記入をお願いします
  • 当院は中央区の助成対象医療機関です(本来10月1日開始の助成が、前倒しで始まっています)

※ 接種代金は毎年変更があります。現在の費用と在庫の状況は、当院ホームページのお知らせをご確認ください。

※ 記載した副反応は主なものです。すべてを網羅したものではありません。気になる症状があれば、接種した医師またはかかりつけ医へご相談ください。

勝どきみなみクリニック耳鼻咽喉科では、勝どき・晴海・月島をはじめとする周辺エリアの方のインフルエンザワクチン接種を行っております。どちらのワクチンにするか迷われている方も、まずはご相談ください。

記事監修者

医療法人社団恵水会 勝どきみなみクリニック耳鼻咽喉科 院長

南 愼一

医学博士/耳鼻咽喉科学会認定専門医/耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医/身体障害者福祉法 第15条指定医

参考文献

  1. Jefferson T, Rivetti A, Di Pietrantonj C, et al. Vaccines for preventing influenza in healthy children. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2018;(2):CD004879. doi:10.1002/14651858.CD004879.pub5
  2. Demicheli V, Jefferson T, Ferroni E, et al. Vaccines for preventing influenza in healthy adults. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2018;(2):CD001269. doi:10.1002/14651858.CD001269.pub6
  3. Belshe RB, Edwards KM, Vesikari T, et al. Live Attenuated versus Inactivated Influenza Vaccine in Infants and Young Children. New England Journal of Medicine. 2007;356(7):685-696. doi:10.1056/NEJMoa065368
  4. Katayose M, Hosoya M, Haneda T, et al. The effectiveness of trivalent inactivated influenza vaccine in children over six consecutive influenza seasons. Vaccine. 2011;29(9):1844-1849. doi:10.1016/j.vaccine.2010.12.049
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