- 2026年9月25日
- 2026年9月24日
その鼻水、秋の花粉症かもしれません|ブタクサ・ヨモギの時期と、スギ花粉との違い
春は平気なのに、秋になると鼻水が出る方へ
「春の花粉症ではないはずなのに、9月に入ってから毎年くしゃみと鼻水が止まらない」——このような形でご相談にみえる方は、けっして少なくありません。
夏の終わりから秋にかけて出る鼻の症状は、季節の変わり目のかぜと思われがちです。しかし実際には、秋に飛ぶ植物の花粉が原因になっていることがあります。原因が花粉であれば、かぜ薬を飲んでも症状は変わりません。
この記事では、秋に飛ぶ花粉の種類と時期、春のスギ花粉症との違い、かぜとの見分け方、そして原因を確かめる方法までを、順を追って解説します。毎年同じ時期に同じ症状が出ている方は、原因を一度はっきりさせておくことをおすすめします。

秋に飛ぶ花粉には、どんなものがありますか?
秋の花粉症の原因として代表的なのは、次の3つです。いずれもキク科やアサ科の草花で、樹木であるスギやヒノキとは性質が異なります。
ブタクサ
キク科の雑草で、8月から10月ごろにかけて飛散します。日本では古くから知られている秋の花粉症の代表的な原因です。河川敷や空き地、道路脇など、身近な場所に生えています。
ヨモギ
こちらもキク科の植物で、飛散の時期はブタクサとほぼ重なります。草餅などに使われるあのヨモギです。
カナムグラ
アサ科のつる性の雑草で、8月から10月ごろに飛散します。フェンスや植え込みに絡みついて伸びるため、住宅街でも見かけます。
このほか、イネ科の植物(カモガヤ、オオアワガエリなど)は春から秋にかけて長い期間飛散するため、秋の症状に関係していることもあります。
なお、花粉の飛散時期や量は地域と年によって差があります。環境省が公開している「花粉症環境保健マニュアル」では、地域ごとの飛散時期の目安が示されています。
スギ花粉症との違いはどこにありますか?
同じ花粉症でも、春のスギ・ヒノキと秋の草花では、いくつか性質が違います。
- 飛ぶ距離が違います。スギは高い木から風に乗って数十キロ単位で運ばれますが、草の花粉は背が低い位置から飛ぶため、遠くまでは届きにくいとされています。原因の植物が生えている場所の近くで症状が強く出やすいのは、このためです。
- 症状が出る場所が限られることがあります。通勤路や散歩コースなど、特定の場所を通ったときだけ症状が出る方もいらっしゃいます。
- 飛散する期間が比較的短めです。スギ花粉が2月から4月にかけて長く続くのに対し、秋の草花は数週間から2か月程度で落ち着くことが多いとされています。
秋のかぜと、秋の花粉症は、どう見分けますか?
自己判断は難しいものですが、次のような点が手がかりになります。
花粉症で多くみられる特徴
- さらさらとした透明な鼻水が続く
- くしゃみが連続して出る
- 目や鼻の奥がかゆい
- 熱は出ない、または出てもごく軽い
- 毎年ほぼ同じ時期に、同じ症状が出る
かぜで多くみられる特徴
- 鼻水が数日のうちに粘り気を帯びて色が付いてくる
- のどの痛みや咳を伴う
- 発熱や体のだるさがある
- 1週間から10日ほどで軽くなっていく
ただし、これはあくまで傾向です。かぜと花粉症が同時に起きていることもありますし、副鼻腔炎に移行している場合もあります。症状が2週間以上続くときは、自己判断で市販薬を続けるのではなく、一度診察を受けてください。

自分が何にアレルギーを持っているかは、どうすれば分かりますか?
症状だけで原因の植物を特定することはできません。確かめるにはアレルギー検査が必要です。
当院では、指先から少量の血液を採取して調べるアレルギー検査「サイリス」を導入しています。結果は約40分で分かるため、その日の診察のなかで結果をご説明し、今後の方針までご相談いただけます。
採血が苦手な方や小さなお子さまにも受けていただきやすい検査です。「毎年この時期につらいけれど、原因を調べたことはない」という方は、この機会にご相談ください。
秋の花粉症には、どんな対処がありますか?
原因が分かると、対処の選択肢がはっきりします。
- 原因の花粉を避ける工夫をする。草花の花粉は背の低い位置から飛ぶため、河川敷や空き地の草むらに近づく機会を減らす、洗濯物を取り込む前に払う、帰宅時に玄関で衣服の花粉を落とす、といった対応が考えられます。
- 薬で症状を抑える。抗ヒスタミン薬の内服や点鼻薬などを、症状と生活に合わせて選びます。
- 鼻づまりが強い場合の処置を検討する。鼻の中の状態によっては、レーザーによる処置が選択肢になることがあります。適応の判断には事前の検査が必要です。
なお、体質そのものに働きかける舌下免疫療法は、現在のところスギ花粉とダニが対象です。ブタクサやヨモギには適応がありません。この点は誤解されやすいので、ご注意ください。
よくあるご質問
Q. 秋だけ症状が出ます。それでも花粉症なのでしょうか。
A. 花粉症は春だけの病気ではありません。秋に飛ぶ草花の花粉が原因で、毎年同じ時期に症状が出る方はいらっしゃいます。原因を確かめるにはアレルギー検査が有用です。
Q. 市販の薬を飲んでいますが、受診したほうがよいですか。
A. 市販薬で症状が落ち着いているなら、それ自体は問題ありません。ただし、原因が分からないまま毎年市販薬を続けている場合は、一度検査で原因を確かめておくと、翌年以降の対策が立てやすくなります。症状が2週間以上続く場合や、鼻づまりが強い場合も受診をご検討ください。
Q. 子どもでもアレルギー検査は受けられますか。
A. 指先から少量の血液を採取する検査のため、採血が苦手なお子さまにも受けていただきやすい方法です。お子さまの年齢や状態を診察のうえでご相談いたします。
Q. 秋の花粉症でも、舌下免疫療法はできますか。
A. 舌下免疫療法の対象は、スギ花粉とダニです。ブタクサやヨモギなど秋の草花には適応がありません。秋の症状に対しては、薬による治療や原因を避ける工夫が中心となります。
Q. 鼻水が黄色くなってきました。花粉症ではないのでしょうか。
A. 花粉症の鼻水は透明でさらさらしていることが多く、色が付いてきた場合はかぜや副鼻腔炎が起きている可能性があります。鼻の中の状態は内視鏡で確認できますので、続くようであれば受診をおすすめします。
まとめ:秋の鼻の症状は、原因を確かめるところから
- 秋にもブタクサ・ヨモギ・カナムグラなどの花粉が飛びます。8月から10月ごろが中心です
- 草花の花粉は飛ぶ距離が短く、特定の場所で症状が強く出ることがあります
- かぜとの見分けは、鼻水の性状と、毎年同じ時期に繰り返すかどうかが手がかりになります
- 症状だけで原因は特定できません。アレルギー検査で確かめられます
- 当院では、指先採血のアレルギー検査「サイリス」を行っています。結果は約40分で分かります
- 舌下免疫療法の対象はスギ花粉とダニで、秋の草花には適応がありません
毎年この時期になると同じ症状が出るという方は、原因をはっきりさせることで、翌年以降の備え方が変わります。勝どきみなみクリニック耳鼻咽喉科では、勝どき・晴海・月島をはじめとする周辺エリアの方の鼻の症状を診療しております。お気軽にご相談ください。
医療法人社団恵水会 勝どきみなみクリニック耳鼻咽喉科 院長
南 愼一
医学博士/耳鼻咽喉科学会認定専門医/耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医/身体障害者福祉法 第15条指定医
参考文献
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